2003年の十枚

2003年は女性物をよく聴いた。あと、おやじ物が多かった。これは俺が単にエロおやじになったせいなのか、若い野郎共に覇気がないのか、どっちなんでしょ。
1 シェルウバ・ブエナ「プレジデント・エイリアン」
YERBA BUENA [PRESIDENT ALLEN]`03
2003年もっとも触発され、元気をもらった音源。「レット・ホット+ライオット」あたりから気にしてくれたてはいたが、これ程凄まじいサウンドをつくるとは。最近癒し系の音楽がはびこる中、一発かましてくれた。これが、タフで、雑多なニューヨーク(ラテン系)の音。しっかり未来を見据えている。
2 セルソ・フォンセカ「ナチュラル」
CELSO FONSECA [NATURALL]`03
本当はロナルド・バストスと一緒の方「スローモーション・ボサノバ」をよく聴いていたのだが(だって和むんだもん)やはり、こっちの方が彼の個性がよく出ている。前までは、ひ弱なカエターノ・ベローソって感じだったけど、今ではブラジルにセルソ・フォンセカあり、という看板しっかり背負っている。変てこな音造りが少し減ったのが残念だけど。
3 ロバート・ワイアット「クックーランド」
ROBAERT WYATT [COCKOOLAND]`03
「シュリープ」程ではないが、今回も良質なポップス。ただ、前回に比べ大変重い。キラキラとした美しい音の背後に、悲しみと怒りが見え隠れする
4 フェルナンダ・ポルト「フェルナンダ・ポルト」
FERNANDA PORTO [FERNANDA PORTO] `03
声も不安定で唄も荒いが(ブラジル音楽にしては、という意味)何しろ音が新しい。得にギターの扱い方がメチャクチャかっこいい。参考にさせてもらってます。
5 スタンリー・スミス「イン・ザ・ランド・オブ・ドリーム」
STANLEY SMITH [IN THE LAND OF DREAM]`02
いいなー。こういう懐が深く、味わい深ーい音楽やりたいな。枯れてて、でも艶やかで、楽しくて、でもちょっと悲しくて、甘くて苦くて、芳醇なワインのようなふくよかな音楽。アメリカ南部だからバーボンか。
6 フン・タン「ドラゴンフライ」
HUONG THANH [DRAGONFLY]`02
日記の3月にも書いたが、これを聴いた時のショックは相当なもんだった。なーんだ、こんなやり方でもいいんだ、ってな感じ。片意地を張らずに自分の国の伝統を素直に受け継ぎ、ちゃんと今の音で表現する。簡単な事。だが、日本ではまだ誰もやれていない。ガンバッてる人もいるが、必ず何かが欠落している
7 ジャック・ジョンソン「オン・アンド・オン」
JACK JOHNSON [ON AND ON] `03
今回選んだ10枚のなかで唯一年下の男の子。トニー・ゲレロもそうだが、スポーツと音楽の垣根がなくなるのは素晴らしい事。俺も何かスポーツやろうかなっと。彼の作った映像も観たが、波、波、波だらけのシーンが長々と続いて中々面白かったよ。
8 カーキ・キング「エヴリボディ・ラヴズ・ユー」
KAKI KING [EVERYBODY LOVES YOU]`03
片田舎にこんなに驚異的なギターテクニックを持ってる23才の小娘がいるんだから、アメリカは広い。アコギ一本のインストアルバムは珍しくないが、これは面白い。リリカルでいてパンキッシュ。オチャメだが思慮深い。アレックス・デ・グラッジなどの影響を受けているらしいが、俺はブルース・コバーンに似た雰囲気を感じる。
9 オズウィン・チン・ベヒーリア「祝福は姿を変えて」
OSWIN CHIN BEHILIA [BENDISHON DISFRASA]`03
ライ・クーダーもいいけど、皆さん忘れてはいけません。カリブ海にはまだまだ原石の宝石みたいな音楽がある事を。これはキュラソー島という小島の音楽。キューバ(ソン)ほどストイックでなく、カリプソほどシニカルでもなく、レゲエほど今日的でもない。素朴で朴訥とした音楽。一見俺でもできそうなくらい。でも貪欲にミクチュアーされ、生き続けたこの音は、他のカリブの島々に負けないくらいしたたかだ。
10 ジューサ「ジューサ
YUSA [YUSA]`03
こんなアコースティック音楽、キューバだけでなく世界中どこにもなかった。アルバム自体はかなりとっちらかっているが、それさえもマグマが吹き出す寸前の地鳴りのように聴こえる。
次点ローリー・アンダーソン「ライフ・オン・ア・ストリング」
LAURIE ANDERSON [LIFE ON A STRING]`01
ローリー・アンダーソンって人、前はインテリなイメージが鼻に付いて好きじゃなかったけど、これはいいぞ。何せ参加ミュージシャンが腰抜かす。ジョーイ・バロン、ピーター・シェラー等のニッティング・ファクトリー系が脇を締め、ヴィニウス・カントゥアリアがボサノバを、ビル・フリゼールがアンビ・ギターを、ミッチェル・フルームがキーボードを、ハル・ウィルナーがプロデュースを、旦那のルー・リードがA・ギターを、さらにヴァン・ダイク・パークスが「ソングサイクル」並のオーケストラを奏でる。この、頭くらくらする程の曲者連中を一気にねじ伏せ、一本の筋を通し、淡々と唄う。この腕力たいしたもの。
次点 スペイセク「カーヴァティア」
SPACEK [CURVATIA]`01
ちょっと前の音源だが、去年はずっとこれを聴いていた。吐息のような音楽。エレクロニカはエロチカなり。
 
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